日本の地域社会において、在留外国人の急増に伴い、とりわけ乳幼児を抱える外国人母親の孤立化が深刻な課題となっている。言葉や文化、生活習慣の相違から、周囲に助けを求めることもできず、家庭内で社会から隔絶されてしまう「孤育て(こそだて)」を防ぐため、地方自治体と民間団体が手を取り合った新な取り組みが各地で始まっている。
6月2日、千葉県鎌ケ谷市の児童センターにおいて、乳幼児を育てる在留外国人を主な対象とした育児支援イベントが開催された。「日本の保育園のことを知ろう」と銘打たれたこのイベントには、ベトナムや中国など様々な国にルーツを持つ在留外国人7家族15人が参加した。
会場内のホワイトボードには、「きゅうしょく(給食)」「ならしほいく(慣らし保育)」「びょうじほいく(病児保育)」といった、日本の保育園や幼稚園特有の制度や専門用語が、分かりやすくひらがなで書き出され、担当の職員によって丁寧に説明された。制度の仕組みが分からず、利用をためらっていた参加者からは「具体的な入園の流れや支援体制を知ることができ、不安が解消された」といった安堵の声が聞かれた。
こうした取り組みの背景には、外国人世帯の増加に対して、行政による情報提供や支援体制が追いついていないという実情がある。特に妊娠や出産、乳幼児期の育児期は、母親が精神的にも不安定になりやすい時期であるにもかかわらず、言語の壁によって自治体からの案内や予防接種などの重要情報にアクセスできないケースが多発している。
この課題に対し、一部の地域ではNPO法人などの民間団体が自治体と協働し、専門的な相談員の配置や多言語による情報発信、さらには病院や行政窓口への同行サポートなどを実施している。例えば、NPO法人「マザーズ・ツリー・ジャパン」などでは、助産師や保育士といった有資格者が多言語でのSNS相談に応じるなど、行政の隙間を埋めるきめ細やかなアプローチで外国人母親のセーフティネットとして機能している。
しかし、こうした草の根活動の多くはボランティアや限られた資金によって運営されており、持続可能性の確保が共通の課題となっている。外国人住民が地域の一員として安心して暮らせる多文化共生社会の実現に向け、官民のより強固なネットワーク構築と、恒常的な支援基盤の強化が求められている。