約4万年前に地球から姿を消したネアンデルタール人。彼らが絶滅した理由は、これまで語られてきた「近親交配による遺伝子の劣化」ではなかったかもしれません。最新の研究により、最後まで生き残った彼らが、予想以上に豊かな遺伝的な多様性を持っていたことが明らかになりました。
科学誌「ネイチャー」に発表されたこの研究では、ベルギーとフランスの遺跡から見つかった27体のネアンデルタール人のDNAを分析しました。これらの遺伝子は、彼らが絶滅に向かう時期である約5万2500年前より新しいものです。解析の結果、彼らは他のネアンデルタール人のグループから約5万4000年前に枝分かれし、お互いにつながりを持った大きな集団を形作っていたことが分かりました。近親交配の痕跡はほとんど見られず、温暖な時期に人口を増やしながら、少なくとも四つの異なるグループに分かれて多様性を保っていたようです。
一方で、今回の分析は、現代人とネアンデルタール人の不思議な関係も浮き彫りにしました。現代の私たちの多くにはネアンデルタール人の遺伝子が受け継がれていますが、今回調べたネアンデルタール人からは、現生人類であるホモ・サピエンスと交配した痕跡が見つからなかったのです。研究者は、サピエンス側はネアンデルタール人の子どもを社会に受け入れたのに対し、ネアンデルタール人側ではその逆が起きなかった可能性を指摘しています。こうした社会的な態度の違いや、一部の地域での遺伝子の偏りが、彼らの運命を分けたのかもしれません。