2026年7月19日から始まる新作アニメ「サイボーグ009 ネメシス」で、1979年の名主題歌「誰がために」が歌手の杏子さんによるカバーで蘇り、大きな話題となっている。原作者の石ノ森章太郎が自ら作詞したこの曲は、今も多くの人々の心を捉えて離さない。マンガ家としてのイメージが強い石ノ森だが、実は約100曲ものアニメや特撮の主題歌を作詞した、言葉の天才でもあった。
石ノ森が書く歌詞は、作品の物語やキャラクターの特徴を短い言葉で完璧に表現している。例えば、『仮面ライダーV3』では「力と技の風車が廻る」「父よ母よ妹よ」という短い言葉だけで、主人公の能力や家族を失った復讐のストーリーを伝えている。また、『仮面ライダーアマゾン』では「牙がひかるぞ」「爪がうなるぞ」という言葉で、野生的な戦い方を生き生きと描き出した。
このような言葉の魔法は、「誰がために」でも十分に発揮されている。この曲が作られた1970年代後半は「アニメは子どものもの」と考えられていた時代だったが、石ノ森はこの曲にあえて「サイボーグ009」という番組タイトルを入れなかった。代わりに「九人の戦鬼」や「涙で渡る血の大河」といった、大人の鑑賞にも堪える深い比喩表現を用いた。これにより、サイボーグ戦士たちが背負う悲みや過酷な運命が、聴く人の心に強く突き刺さる名曲となった。
新作アニメ「サイボーグ009 ネメシス」は、2026年7月19日から順次配信される。杏子さんが歌う新バージョンの「誰がために」は、かつてアニメに熱中した大人だけでなく、新しく作品に出会う若い世代をも惹きつけるだろう。石ノ森章太郎が言葉に込めたヒーローの魂は、時代を超えて今も響き続けている。