数十億年前の火星で吹いていた激しい風の証拠となる不思議な岩を、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティ」が撮影しました。薄い層が何重にも重なり合ったこの岩は、大昔の火星の天気や環境を知るための貴重な手がかりになると注目されています。
キュリオシティがこの岩を発見したのは、ゲール・クレーターの中にあるアイオリス山(シャープ山)の「ジョーボーン・キャニオン」と呼ばれる場所です。写真には、均一な厚さの砂が何枚も重なったような、見事な模様が映っています。
イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームによると、この岩は「クライミングリップル」と呼ばれる構造でできています。風によって砂が移動するとき、通常は地面の表面に波のような模様ができます。しかし、大昔の火星では非常に強い風が吹き、大量の砂が空に舞い上がって急激に降り注ぎました。その結果、砂が斜め上に向かって次々と積み重なっていきました。
驚くことに、厚さ数センチメートルの重なりは、わずか数分間だけ吹いた強い突風によって作られたと考えられています。それが何層も重なっていることから、数時間以上も続く大きな砂嵐が起きていたことが分かります。
これまで火星で見つかった地層の記録は、季節や年単位の長い時間の風の変化を示すものが多くありました。しかし今回の発見は、ごく短い時間に起きた天気の出来事をはっきりと残している点で大きな意味があります。
かつて海ができるほどの水があったとされる火星が、どのようにして現在のように冷たく乾いた星へ変わっていったのか。昔の火星の気候や大気を解明する重要な研究として期待されています。