私たちが普段行っている「マルチタスク」の多くは、意識的な判断を担う前頭前野が素早く作業を切り替えているだけに過ぎません。しかし、長期間の訓練によって脳の神経回路が「再配線」され、本当の意味で同時に二つの課題を処理できるようになるという研究結果が発表されました。
Nに過ぎない= nothing more than N / merely NVできるようになる= become able to V
前頭前野は状況に応じた思考を行う重要な領域ですが、基本的に一度に一つの判断しか処理できません。研究チームは、18歳から29歳の実験参加者に、アプリを使って画像の分類課題を5週間から10週間にわたって3万回以上繰り返してもらいました。
Vてもらう= have someone do V
その結果、3万回の訓練を終えた参加者の脳では、分類の判断を行う中心が前頭前野から視覚や識別に関わる後頭部側の領域(vOTC)へ移動していることが確認されました。処理が自動化されて前頭前野を経由しなくなったことで、あいた前頭前野を別の課題の処理に使えるようになったのです。
実際に二つの課題を同時に行うテストでも、訓練した課題による成績の低下が大きく減りました。ただし、自動化された処理は迅速な反面、状況の変化に柔軟に対応しにくいという側面もあります。研究者は、どんな作業でも安易に同時にこなせるとは限らないため、注意が必要だと指摘しています。