ADHD(注意欠如・多動症)を抱える10代の若者でも、野菜や果物、魚を中心とした健康的な食生活を送ることで、集中力の低下や衝動的な行動を抑えられる可能性があることが分かりました。地中海式ダイエットに近い食事をとっている青少年ほど、視覚テストで良い成績を収めたことが明らかになっています。
研究では、13歳から19歳までの青少年39人(うち18人がADHDの診断を受けている)を対象に、4日間の詳細な食事の記録と21分間の認知テストを実施しました。参加者の食生活を分析したところ、ADHDの有無にかかわらず、多くの青少年が飽和脂肪酸や糖分を摂りすぎている一方で、食物繊維やカルシウム、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取が不足していることが判明しました。
しかし、ADHDの診断を受けた生徒の中でも、オリーブオイルや魚、ナッツ類を多く摂る地中海式の食事に近い食生活をしている人は、テストでの処理速度が速く、反応時間も安定していました。
研究チームは、特定の栄養素が脳の働きに影響を与えていると指摘しています。肉や乳製品、卵などに含まれるビタミンB12の摂取量が多いほどテストの反応速度が著しく速くなりました。また、魚や種子に含まれるオメガ3脂肪酸の摂取が多いほど、注意力や衝動の制御能力が向上したことも分かりました。オメガ3脂肪酸には脳細胞の膜の形成を助け、炎症を和らげる働きがあります。
興味深いことに、年齢が上がるにつれてADHDのない青少年の食生活はわずかに改善したのに対し、ADHDの青少年は食生活が悪化する傾向が見られました。自由に使えるお金が増え、親の監視が弱まることで、衝動的にお菓子や加工食品を手にしやすくなるためだと推測されています。
今回の研究は39人という少ない人数を対象としたものであり、食事とADHDの症状との因果関係を直接証明するものではありません。しかし、日常の栄養バランスを整えることが、脳の機能や集中力を支える手段になり得ることを示す貴重な手がかりとなります。