「毎日1万歩歩く」という目標を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、この「1万歩」という数字には、もともと科学的な根拠がなかったことが知られています。
この目標は、1964年の東京オリンピックの後に日本で高まった運動不足への心配から作られた「万歩計」という商品が由来です。1965年に山佐時計計器という会社が日本で初めての歩数計を発売したとき、「1万」という漢字が歩いている人の姿に似ていて覚えやすかったため、宣伝のために「1万歩」という言葉が選ばれました。つまり、最初は医学的な研究ではなく、歩数計を売るためのキャッチコピーだったのです。
ただし、1万歩歩くことが無意味というわけではありません。専門家によると、1万歩は健康に良い目標ですが、それより少ない歩数でも健康のメリットを得ることができます。2025年に発表された研究の結果によると、1日約7000歩歩くことで、多くの健康上のメリットをほぼ最大限得られることが判明しました。1日7000歩歩く人は、1日2000歩の人と比べて、早期死亡のリスクが47%低く、心血管の病気や認知症などのリスクも大きく低下していました。
また、歩数だけでなく「どのくらい速く歩くか」も重要です。会話を続けるのが難しいと感じるほど速く歩くと、運動の強度が上がり、短い時間でより大きな効果が得られます。歩く時間をなかなか増やせない人は、歩く速度を上げることで、手軽に健康のメリットを高めることができます。