増大するサイバー攻撃の脅威に先手を打ち、信頼できる防御側に最先端のAI能力を届ける新たな試みが始まった。米OpenAIは、サイバーセキュリティの防御者向けプロジェクト「Daybreak」を拡張し、段階的なアクセス階層である「Daybreak Blue」と「Daybreak Red」を新設したと発表した。あわせて、セキュリティ特化型モデル「GPT-5.6-Cyber」を「Daybreak Red」経由で提供する。
従来のChatGPTやAPIでは、悪用を防ぐための制限が正当な安全調査まで拒否してしまう課題があった。今回の二つの階層は、ユーザーを審査した上でこの制限を緩める仕組みだ。まず「Daybreak Blue」では、汎用モデルを用いて脆弱性の発見やコードの検証、インシデント対応などを安全に進められるようにする。
より高度な「Daybreak Red」で投入される「GPT-5.6-Cyber」は、未知の欠陥(ゼロデイ脆弱性)の発見や検証を専門とする。リスクの高い依頼に対する応答率を測る社内評価では95.0%という高い数値を記録し、従来モデルの制限による停滞を解消した。実際の検証でも、WebブラウザのJavaScriptエンジンから重大な脆弱性を発見・報告して修正につなげたほか、OSやデータベースなどでも多数の欠陥を特定した。
同社は、自社の安全基準に基づき危険性を評価しつつ、主要なセキュリティ企業など20社のパートナーやオープンソースコミュニティと連携して対策を進めている。攻撃手法が高度化する中、防御側に強力なAIツールを優先的に授けることで、システム全体の安全性を高める狙いだ。