台所に置いておいたニンニクから芽が出てきた経験はありませんか。ニンニクの球根がいくつもの「かけら」に分かれているのは、それぞれのかけらから新しい株を育てて仲間を増やすためです。
植物が増える方法には、親の遺伝情報をそのまま受け継ぐ「無性生殖」と、2つの個体の遺伝情報を組み合わせる「有性生殖」があります。ニンニクの場合、かけらから育つのが無性生殖で、花を咲かせて種を作るのが有性生殖です。かけらの中には小さな葉や茎がすでに入っており、かけらを土に植えるだけで手軽に育てることができます。
人間による栽培と変化
人間は何千年も前から、かけらを植えてニンニクを増やして便利に利用してきました。しかし、無性生殖だけに頼り続けると、遺伝子のコピーのときに起こる突然変異がそのまま次の世代へ伝わってしまいます。長い時間の間に、種を作るための遺伝子に変化がたまっていき、現代のニンニクは自力で有性生殖をする能力をほとんど失ってしまいました。
未来への備えと研究
なお、成長のときに必要な環境の条件がそろわないと、かけらに分かれずに1つの大きな「ソロガーリック(一片種ニンニク)」になることもあります。
すべてのニンニクが同じ遺伝情報を持つクローンになると、新しい病気や気候変動に弱くなってしまいます。科学者たちは、ニンニクが受粉して種を作る力を取り戻し、将来の環境の変化に対応できるようにするための研究を進めています。