AIが生み出した文章なのか、人間が書いたものなのかを見た目を変えずに見分ける「電子透かし」の技術が注目されています。アメリカのAnthropic(アンソロピック)は8月14日、同社の対話型AI「Claude(クロード)」が作成するテキストに埋め込む電子透かしの仕組みを説明しました。
この透かしは、AIが次の単語を選ぶときのルールを利用しています。通常、AIは意味がほとんど同じ複数の単語からランダムに選びますが、透かしを入れる場合は「秘密の鍵」と直前の文脈をもとに単語を選びます。これにより、鍵を持つ側だけが検出できる統計的なパターンが文章に残ります。テキストに新しい文字を増やさないため、文章の品質や生成速度、利用料金には影響しないとしています。
今回の対応は、欧州連合(EU)の「AI法(EU AI Act)」における透明性の行動規範に署名したことに基づいています。地域ごとに適用を制限する確実な方法がまだないため、EU域内だけでなく日本を含む世界中のモデルやプロダクトに順次適用されます。Anthropicは、透かしや鍵に利用客や組織、チャットを特定できる情報は含まれないと説明しています。
電子透かしの検出には、同社が近く提供する専用APIを使い、秘密の鍵で単語の並びを検証してClaudeがどれほど関与したかの確率を測ります。一方、事実の記述や数式、プログラミングのコードなど、言葉の選び方に自由度がない文章では透かしを入れる余地がなくなります。軽い編集では消えませんが、すべての単語を置き換えるような完全な書き直しをすると透かしは消えるとされています。
また、画像ファイルを生成する際はテキストとは異なり、C2PAという業界標準規格のメタデータが付与されます。データそのものに情報を埋め込むのではなく、AIが作成した記録を暗号署名として残す方式です。AIによる成果物の透明性を高める取り組みは、テキストと画像の両方で広がっています。