海外での就労や生活を夢見る若者たちに人気の渡航先であるオーストラリアで、ワーキングホリデー(ワーホリ)ビザの審査が減速していることが分かった。円安や高水準の賃金を背景に、日本から現地へ向かう滞在者が過去最多規模へ膨らむ中、現地の移民削減方針に伴うあおりを受ける懸念が高まっている。
豪政府のトニー・バーク内相は16日、ビザ審査の処理ペースが以前より遅くなっている事実を認めた。日本などのように年間の受け入れ上限が設定されていない国の申請者であっても、7月初旬からビザ発給の遅れが指摘されている。さらに、アルゼンチンやスペインなど年間100人から5000人の受入枠が設けられている二十数カ国に対しては、現在申請の受け付け自体が一時停止される事態となっている。
背景にあるのは、新型コロナウイルス禍の収束後に急増した移民への懸念だ。同国の移民の純増数は、ピークだった2023年の約55万人から減少したものの、昨年も約30万1000人に上った。豪政府は2年以内に年間22万5000人程度まで抑え込む目標を掲げており、大規模な削減策の一環としてビザ審査の減速が進められている。
一方で、ワーホリ利用者は6月末時点で約22万6000人と過去最多を記録しており、ビザ削減には人手不足に悩む地方産業からの反発も予想される。バーク内相は農業分野で太平洋島しょ国などからの労働者の受け入れ制度が主な供給源になるとの見解を示しているが、渡航を計画する日本人の申請への影響について今後も注視が必要だ。