猫が「マーキング」で尿をかける時、自分の情報をほかの猫へ伝える仕組みが新しくわかりました。猫の尿には、人間の顔や指紋と同じように、仲間を識別するための特別な成分が含まれています。
岩手大学などの国際研究グループは、猫の尿から「分岐鎖脂肪酸」と呼ばれる13種類の特殊な脂肪酸を発見しました。この脂肪酸の種類や割合は、猫によって異なります。
猫は尿のにおいを嗅ぐ時、口を少し開けて不思議な表情をします。これは「フレーメン反応」と呼ばれ、上あごにある特別な器官でにおいの化学物質を調べています。研究グループが実験したところ、この特殊な脂肪酸の組み合わせが、フレーメン反応を強く起こすことがわかりました。
尿の中の脂肪酸だけを別の猫のものに変えても、猫はどの個体のにおいかを見分けることができました。また、この脂肪酸はゆっくり蒸発するため、1か月が過ぎてもにおいの情報を長く保つことができます。
さらに、この脂肪酸は猫の腎臓にたまっていることもわかりました。腎臓が貯蔵庫の役割を果たし、個体ごとに違うにおいの尿が作られる仕組みです。
研究を行った岩手大学の宮崎雅雄教授は、「この脂肪酸は、猫のマーキング尿に個体の情報をあたえる『においの名刺』のようなものだ」と話しています。
この研究成果は、8月20日付の米国の科学誌「カレントバイオロジー」に掲載されました。