将来、野菜を食べながら肉の栄養や風味が得られる時代が来るかもしれません。研究チームがレタスの遺伝子を操作し、葉の中で動物の肉に含まれる主要なタンパク質「ミオグロビン」を安定して作らせることに成功しました。
実験では、光合成を行う細胞内の「葉緑体」にミオグロビンの遺伝子を挿入しました。その結果、レタスやタバコは植物でありながら順調に成長し、ミオグロビンを産生することが確認されました。さらに、作られた種子にもこの遺伝子が受け継がれており、次の世代でも同じタンパク質を作れることが分かっています。通常のレタスと比べても、見た目や光合成の能力に目立った障害は見られませんでした。
現在、レタスが作るミオグロビンの量は乾燥重量1kgあたり約810mgで、実際の肉に含まれる量の約10分の1程度です。しかし、植物の栽培は家畜を育てるよりも水の使用量が少なく、温室効果ガスの排出も抑えられます。そのため、土地あたりのタンパク質収量で計算すると、従来の畜産業と同等以上の効率を達成できる可能性があります。
今後は、タンパク質の合成に必要な分子「ヘム」の補給経路を改善し、生産量をさらに増やせるかが課題となります。研究チームは、将来的に葉から抽出した成分を植物由来の肉の原料にしたり、遺伝子操作した野菜をそのまま食材として活用したりする新しい分子農業の展開に期待を寄せています。