人工知能(AI)を活用して設計された治療薬「レントセルチブ」の臨床試験において、患者の生物学的年齢が低下したことが報告された。製薬のInsilico Medicineなどの研究チームが発表した結果によると、血液中のタンパク質パターンから細胞の損傷具合を予測する6つの「老化時計」モデルのすべてで、プラセボ投与群よりも生物学的年齢が低く評価された。
この研究は、人体そのものが実際に若返ったことを直接証明したわけではないものの、血液中のタンパク質パターンが変化し、若返りとみなせるレベルの差が生じたことを示している。1日2回、30mgのレントセルチブを投与された患者では、投与後4週間が経過した時点で、生物学的年齢が平均して約3年から4年、一部のモデルでは最大6年逆転したという。設計基準の異なる複数のモデルで共通して同様の傾向が確認された点が注目されている。
さらに、肺機能への効果が最も高かった用量(1日1回60mg)と生物学的年齢を最も下げた用量が異なることから、この抗老化作用は呼吸機能の改善のみによるものではないと分析されている。Insilico Medicineは、こうした治療薬が実用化されれば、健康寿命の延伸を通じて世界規模で多大な経済的効果や医療費の削減につながると期待を寄せている。