近年日本の少女マンガが、国境や世代を超えて世界中の読者から共感を集めている。かつて海外で人気を集める日本のマンガは『ONE PIECE』や『進撃の巨人』などの少年・男性向け作品が中心だったが、2000年代以降は女性向け雑誌で連載された作品の注目度も高まっている。『フルーツバスケット』がアメリカでベストセラーとなりギネス記録に認定されたほか、2024年には『君に届け』のアニメ新シリーズがNetflixで世界独占配信されるなど、登場人物の繊細な感情描写や「青春の葛藤」が国を問わず愛されている。
少女マンガの背景には、日本特有の雑誌文化がある。戦前の『少女倶楽部』などの少女雑誌を源流とし、戦後は『なかよし』や『りぼん』といった雑誌が創刊された。1950年代からは女性作家たちが頭角を現し、女性自身の手で作品が描かれるようになった。戦前の雑誌は「良妻賢母」を規範としていたが、戦後は女性の自立や社会進出と歩調を合わせるように、憧れの職業や自由な生き方をテーマにする作品が増えていった。
また、戦いや勝利を強調する少年マンガとは異なり、少女マンガは内面的な心理描写や視覚表現を重視してきた。変形されたコマ割りや余白の活用、モノローグの重ね合わせなど、独自の画面構成が発達した。1960年代には『週刊マーガレット』などの週刊誌が登場し、長編連載や若手新人の育成が進んだことで、歴史ロマンや社会的なテーマを扱う複雑で奥深い物語が生み出されるようになった。
さらに1970年代には、少年同士の愛を描いた『風と木の詩』や『トーマの心臓』などの挑戦的な作品が話題となり、後の「BL(ボーイズラブ)」カルチャーの形成にもつながった。読者の「聖域」として悩みに向き合いながら進化を重ねてきた少女マンガの表現手法は、今やジャンルを越えて幅広い作品に影響を与え、世界的な評価を得ている。