地球から約1万光年離れた宇宙で、巨大な星が周りのガスを刺激して新しい星の誕生を促す「世代交代」の様子が捉えられました。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)が観測した「RCW 34」と呼ばれる星の形成領域では、青く輝く若い星々の後ろに、赤く広がるガスと塵の雲が見られます。この領域の右上にある最も明るい場所には、非常に重くて若い星々が隠れています。これらの星が放つ強い紫外線によって周囲の水素ガスが温められ、赤く光っているのです。
温められたガスは勢いよく膨張し、冷たいガスを押し広げながら、宇宙空間に向かって一気に噴き出しています。このダイナミックな現象は、シャンパンの栓を抜いたときに中身が飛び出す様子に似ていることから「シャンパン・フロー」と呼ばれています。
この領域の内部は厚い塵に覆われており、目に見える光では奥深くを観察することができません。しかし、塵を通り抜けやすい赤外線を使った観測によって、この場所で何度も星が誕生していたことが分かりました。太陽よりも小さな若い星々が、古い巨大な星の周りに集まるように存在しており、最初に生まれた星が周囲の環境を変え、次の世代の新しい星の形成を次々と引き起こしたと考えられています。
この領域にエネルギーを与えている中心の星は「ほ座V391星」という、表面温度が約3万度に達する極めて高温の星です。しかし、このように巨大で明るい星の寿命は数百万年と短く、最後は超新星爆発を起こして一生を終えます。その強烈な衝撃波によって、この美しい星雲の形は将来、根本から変わってしまうと予想されています。私たちが今見ている景色は、変化し続ける宇宙のドラマの、ほんの一瞬に過ぎないのです。