「買ったときの性能が一番低く、使えば使うほど賢くなっていく」――そんな新しいロボットの姿が現実になろうとしています。
従来のロボットは、新製品のときが最も性能が高く、古くなると悪くなっていくのが普通でした。しかし、これからは違います。寝ている間にロボットが自分で練習し、朝には前日よりも上手になっているのです。
ソフトバンクとロボットメーカーの安川電機は、ロボットが自動で学習して動きを良くする「フィジカルAI」の共同開発を進めています。今回の展示会では、ロボットが苦手とする作業の実験が行われました。
それは、つかむたびに形が変わる「ワイヤハーネス(電線の束)」を箱に入れる作業です。ロボットは、カメラで見たデータを基に、コンピューターの中で何回も練習(シミュレーション)を繰り返します。
学習のスピードはコツコツやるよりもとても速いです。展示会場の環境に合わせてロボットを学習させ直したところ、開発者は「昨日の夜、私たちが寝ている間にロボットが練習して、今朝はとても上手になっていた」と驚いていました。
ロボット自身が持つコンピューターだけでは、複雑なAIを動かす力が足りません。そこで、二つのAIの役割を分けて使います。
まず、カメラの映像から「何がどこにあるか」を判断する「目」の役割(VLM)は、ソフトバンクの強力なデータセンターで行います。そして、その情報を受け取って「どう動くか」を決める「体」の役割(VLA)は、ロボットの中のコンピューターが担当します。
これにより、たとえば物流倉庫で、別の商品の下に隠れているスマートフォンを自分で見つけ、上の邪魔なものをどけてから取り出すといった、人間のような難しい作業ができるようになります。
安川電機は長年ロボットを作ってきた経験があり、安全で使いやすいロボットを提供します。ソフトバンクは、日本全国にあるデータセンターなどの大きな計算基盤でAIを支えます。
両社は、2030年よりも前にこの技術を社会で使えるようにすることを目指し、開発を急いでいます。