スマートフォンなどの身近なカメラで撮影した映像から、たった1分ほどで細部まで再現された3Dモデルを自動で生成する画期的な技術を、NECが開発しました。これまでは高価な専用の機器や長い計算時間が必要でしたが、この技術により、誰でも手軽に現場の立体的なデジタルデータ(3Dモデル)を作ることができるようになります。
近年、インフラ点検や工場などの現場では、人手不足や設備の老朽化が進んでおり、現地に行かずに遠隔から状況を確認する取り組みが広がっています。しかし、通常の動画や写真だけでは、見たい角度や場所を自由に選ぶことができず、正確な判断が難しいという課題がありました。3Dモデルを使えば自由な視点から確認できますが、生成に時間がかかることが導入の壁となっていました。
NECの新技術は、画像の集まりから空間を再現する「ガウシアン・スプラッティング」という手法に、独自のAI(人工知能)を組み合わせたものです。AIが映像の中の複雑な部分を分析し、細かい構造にはデータ(ガウシアン)を高密度に配置し、単純な部分では密度を下げて計算を効率化します。これにより、高い画質を保ちながら計算時間を従来の10分の1に短縮し、最短1分ほどで3Dモデルを完成させることができます。
さらに、撮影中の映像に歩く作業員や移動する物体が映り込んでも、AIがそれらを自動で検出して取り除きます。消えた部分の背景は前後の映像データから自然に補完されるため、人が行き交う忙しい現場でも、作業を止めることなく綺麗な3Dモデルを作ることが可能です。
作成された3Dモデルは、一般のパソコンやタブレットで簡単に操作でき、メーターやスイッチなどの細かい部品まで確かめることができます。NECは、この技術を通じて遠隔での設備点検や災害・異常発生時の迅速な対応を支援し、2027年度の実用化を目指しています。