27年にわたりGoogleの技術開発とAI研究を牽引してきたチーフサイエンティストのジェフ・ディーン氏が、同社を退職し、AIによる実験の自動化を推進する新会社「Discovery Loop」を設立した。
ディーン氏は、Googleがわずか25人の小規模なチームから19万人を超える巨大企業へと成長する過程を支えてきた中心人物だ。10億人以上に利用される13の製品群を構築してきた同氏が新たに挑むのは、科学的発見のスピードを劇的に加速させる取り組みだ。
新会社Discovery Loopは、ディーン氏のほか、サンジェイ・ゲマワット氏、オリオル・ビニャルス氏、クオック・レ氏という、Googleで長年実績を積んできたトップクラスの研究者4名によって共同創業された。同社が着目するのは、仮説の立案から実験の実装・実行、検証と改良に至る「科学的手法のサイクル」が、従来の手作業では拡張性に限界がある点だ。
Discovery Loopでは、最先端のAIモデルと大規模な計算基盤を活用し、数千規模の実験を並列的に自動実行するシステムの構築を目指す。創業者らはまず自社の開発プロセスにこれを適用し、将来的には創薬や医療情報、クリーンエネルギーやサイバーセキュリティといった人類共通の課題解決へと応用を広げる計画だ。
Googleのスンダー・ピチャイCEOは、ディーン氏の27年間の貢献に感謝を表すとともに、Googleが出資者兼クラウドパートナーとして新会社を支援し、今後も共同で研究に取り組むことを発表した。トップ研究者が相次いで独立・移籍するなか、AI分野におけるイノベーションの舞台は巨大IT企業から新たな領域へと広がりつつある。