太陽の表面に広がる無数の「渦」や極めて細かい縞模様が、過去最高の解像度で明確に捉えられた。アメリカ・ハワイ州の標高3084メートルのハレアカラ山頂にある「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡」が観測した画像は、太陽表面として史上最高となる約19キロメートルの解像度を達成した。
地球の雲と同じ「流体の渦」
画像に映し出された渦や縞模様は、「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」と呼ばれる流体力学の現象によるものだ。これは、速度の異なる2つの流体が接する境界で微小な乱れが渦状に成長する現象で、地球の大気で雲が波状に連なる様子や、木星・土星の大気模様でも見られる。
太陽の大気上層ではこれまでも同様の現象が確認されていたが、光球(表面)でこれほど鮮明に捉えられたのは今回が初めてだ。研究チームが観測データと数値シミュレーションを比較したところ、渦どうしの間隔がどちらも50〜65キロメートルとよく一致し、観測された渦がケルビン・ヘルムホルツ不安定性によるものであることが実証された。
太陽の巨大な謎を解く鍵に
太陽の磁場エネルギーは、表面の運動によって磁力線が絡み合うことで蓄積される。このエネルギーが解放されると、小規模なナノフレアから大規模な太陽フレアまで、爆発的な現象が引き起こされる。今回特定された渦は太陽全域で常に発生しているとみられ、磁力線を絡ませる主要な役割を担っている可能性がある。
さらに、太陽の外層大気であるコロナが100万℃を超える高温になる理由や、約11年の周期で蓄積した磁束が急速に拡散する仕組みは、長年の謎とされてきた。研究チームは、このミクロな渦こそが、従来のモデルでは説明できなかった磁場拡散や大気上層へのエネルギー輸送を解明する手がかりになると期待を寄せている。