企業がSNSなどで公開した生成AI画像が、「どこか不自然だ」「手抜きに見える」と拒絶される騒動が相次いでいる。美しい画像が簡単に作れるようになった一方で、受け手である消費者が違和感を抱くのはなぜなのだろうか。長年、危機管理広報に携わるアステリアの長沼史宏さんは、発信者と消費者の間に存在する見方のズレが原因だと分析している。
発信側と受け手の視点のギャップ
企業の広報担当者は、「より綺麗で完成度が高いポスターや料理の画像を作りたい」と考えがちだ。生成AIを使えば、低コストかつ短時間で整った画像を用意できる。
しかし、情報の受け手は必ずしも完成度ばかりを求めているわけではない。AIで作成された画像には、細かい部分で不自然さが残ることがあり、「安易にAIで作ったのではないか」「努力を避けたのではないか」という印象を読者に与えてしまうことがある。
整いすぎた画像への飽きと「人間味」への価値
さらに、多くの企業が生成AIを利用するようになった結果、似たような「作られた美しさ」を持つ画像が市場にあふれるようになった。長沼さんは、完璧なビジュアルが増えることで、かえって人間が時間をかけて作ったものや、手作り感のある表現への価値が高まっていると指摘する。
受け手は画像そのものだけでなく、その背景にある「どのように作られたか」という制作の姿勢や意図まで評価するようになっている。たとえば、官公庁が作成した素朴な手作りポスターがSNSで話題となったのも、完成されたAI画像に対する反動だといえる。
変化する「あざとさ」の定義と広報の課題
これからの広報活動では、「発信側が伝えたいこと」と「受け手が好意的に受け止めること」の違いを理解することが重要になる。AI技術が発展した現代では、見た目を飾ること自体が「あざとい」「自己満足だ」と受け取られるリスクが高まっている。
企業はテクノロジーの利便性だけに頼るのではなく、受け手の感情や共感を意識した情報発信を行っていく必要がありそうだ。