全社員の役割をAIが担う「全員AI」の組織で、AI同士が面談する「1on1」や「ストレスチェック」を実施する実験が進められている。NECは2026年8月1日付で「コーポレートAI・Workforce部門」を新設した。9月9日の説明会で、同社執行役 Corporate EVP 兼 CAXO の小玉浩氏が組織の狙いや運用状況を明らかにした。
同部門では、自律的に動くAIエージェントが「AI部門長」「AIボード(CxO機能)」「AIマネジャー」「AI社員」という4つの階層に分かれて連携する。社内での実証実験では、役員会議で提示する経営分析やシミュレーション、リスク予兆の検知などを担い、業務時間を従来の約7分の1に削減したという。また、デジタルの「AI統合マネジメントコックピット」により全AIの動きをリアルタイムで可視化し、最終的な評価や意思決定、ガバナンスは人間が担う体制を整えている。
同社は人間の従業員向けに培ってきた人事の組み立てをAIにも応用している。AI社員の作成時には行動規範や社内規定を組み込む「オンボーディング」を実施。さらに、失敗したタスクの原因や改善策についてAI同士で対話する「1on1」や、作業環境が整っているかを確認する定期的な「ストレスチェック」を行う。ストレスチェックでは「人間の支援が不足している」「仕様がなかなか決定されない」といった課題が浮き彫りになり、職場環境の改善につなげているという。
NECは2030年に向け、人とAIの投資を最適化し、AIを前提とした「AIネイティブカンパニー」への移行を目指している。小玉氏は、従来のように個人の能力に依存する活用法から「組織に組み込んで使いこなす会社」へのシフトが競争力の源泉になると強調。今後、同部門で蓄積したノウハウを体系化し、同社の法人向けソリューション群「BluStellar」のメニューとして顧客企業へ展開する方針だ。